シャンプーに配合されている界面活性剤とは

シャンプーに配合されている界面活性剤

ここでは、シャンプーの洗浄成分である界面活性剤について解説します。

界面活性剤の働き

界面活性剤は、物質の境の面(界面)に作用して、性質を変化させる物質の総称で、シャンプーの洗浄成分として使用されています。

界面活性剤は、シャンプーのほかにも、洗濯用洗剤、食器用洗剤、石鹸、歯磨き粉、化粧品、医薬品など様々な日用品に使用されてます。

界面活性剤には、その主な働きとして

  • 乳化作用
  • 浸透作用
  • 分散作用

などがあります。

乳化作用

例えば、水と油をひとつの入れ物に入れると、はっきりと2つの層に分かれますが、この中に界面活性剤を入れてかき混ぜると、水と油は混ざりあいます。

界面活性剤は、その分子内に

  • 水になじみやすい部分(親水基)と、
  • 油になじみやすい部分(親油基)

を持ち、これらがそれぞれ水と油の境界に作用して混じり合わないものを混ぜ合わせる働きをします。これを界面活性剤の働きの一つ乳化作用と言います。

この働きで、親油基で油汚れ掴み、親水基が外側を覆うため、水と一緒に洗い流すことができるようになったりします。

シャンプーにもこの界面活性剤が配合されており、この界面活性剤の性質を利用して頭皮の皮脂汚れを除去しています。

浸透作用

例えば、ウールなどの繊維を水に入れても、繊維の中に水はなかなか染みこみません。これは水の界面張力が強く働いているためです。

浸透作用とは、水だけではなかなか浸透しない繊維などの中に界面張力を下げることで浸透しやすくする作用です。

分散作用

分散作用とは、乳化と似た作用です。

すすなどの粉状の個体を水に入れると油のときと同じように混じり合わわずに表面に浮かんでしまいますが、界面活性剤を入れると粉状の個体の周りに界面活性剤の分子が吸着して、水の中に散らばるようになります。この現象を分散作用といいます。

乳化・浸透・分散作用とも油汚れや頭皮の皮脂汚れなどを落す場合に重要な働きをします。そのため、シャンプーの場合でも、通常、最も多く含まれているのが水ですが、その次に多く配合されているのがほとんどの場合、この界面活性剤です。

シャンプーはこの界面活性剤の働きで頭皮の脂汚れを落としていきます。

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界面活性剤の種類

シャンプーやリンスなどに限って考えた場合、界面活性剤はその原料により、

  • 石油系界面活性剤と
  • 天然系界面活性剤

とに分類することができ、

シャンプーなどでは、一般的に、

  • 石油系界面活性剤である「石油系・高級アルコール系」と
  • 天然系界面活性剤である「アミノ酸系」と「石けん系」

に分類されて評価されます。

ここでは、シャンプーの分類でよくみられる石油系・高級アルコール系、アミノ酸系、石けん系の各界面活性剤について簡単に解説します。

石油系・高級アルコール系の界面活性剤

石油系・高級アルコール系の界面活性剤とは、石油や高級アルコール系の成分などから精製されるもので、低コストで製造できるため原料の価格が安価です。

この成分を配合したシャンプーは、泡立ちが良く洗浄力が強いため、洗い上がりが爽快でサッパリするという特徴があります。

長年の間、シャンプーの洗浄成分として活用されてきましたが、皮脂を取りすぎる傾向があり、また、肌への刺激が強くタンパク質変性作用(タンパク質の性質を変える作用※)もあるため、近年の育毛シャンプー、スカルプシャンプーといったものには配合が敬遠される傾向にあります。

※洗剤などで手荒れするのも殆どがこのタンパク質変性作用によるものです。

皮脂は何かと悪者扱いされますが、適度な皮脂は頭皮環境を健全に保つために重要な役割を持っています。

つまり、皮脂は汗と混ざって皮膚の表面を覆う皮脂膜を作り、セラミド(細胞間脂質)や天然保湿因子(NMF)とともに

  • 頭皮内の水分の蒸発を防いだり(保湿)
  • 細菌やウィルス、紫外線などの外部の刺激から皮膚や毛髪を保護したり

と、頭皮や毛髪のバリア機能を果たすほか、頭皮や髪の毛の表面を覆い、なめらかにする働きもあります。

このように皮脂は健全な頭皮環境を維持するために重要な働きをしていますので必要以上に取りすぎるのは育毛にはマイナスと考えられています。

その点、石油系・高級アルコール系シャンプーは、脱脂力が強いため、頭皮のバリア機能を下げて荒れやすく敏感な肌になるリスクを高めてしまいます。

石油系・高級アルコール系シャンプーは、頭皮環境を健全に保ち、育毛を促進したいと考える場合は、避けたい成分です。

石油系・高級アルコール系シャンプーは、ドラッグストアやスーパー、コンビニエンスストアなどで、安価で大量に販売されています。

成分の確認の仕方

医薬部外品ではない通常の化粧品扱いのシャンプーは、全ての配合成分をその配合量が多い順に表示しなければならないルールがありますので、シャンプーボトルに記載されている成分表などでその成分を確認することができます。

シャンプーの成分表

殆どのシャンプーが最初に水と記載されており、その次から洗浄成分である界面活性剤が記載されていますので、一つの目安として、成分表の前の方に以下のような成分が記載されていないかどうかチェックして下さい。

この成分表の中に、

  • ラウリル硫酸Na
  • ラウレス硫酸Na
  • ラウリル硫酸アンモニウム
  • ラウレス硫酸アンモニウム
  • スルホン酸Naラウリル硫酸カリウム
  • パレスー3硫酸Na
  • パレスー3硫酸アンモニウム
  • アルキル硫酸

など、文字列の中に「硫酸」の文字があれば石油系・高級アルコール系の界面活性剤です。

このような石油系・高級アルコール系界面活性剤は頭皮への浸透力が高く、体内に残留し年月をかけて蓄積される性質が懸念されています。

このような有害とされる物質が含まれる製品を毎日使い続けることは、育毛には非常にマイナスであることは言うまでもありません。

市販品で最も多く、一般家庭でも最も広く使用されている高級アルコール系シャンプーのメリットやデメリットを解説。
参考:高級アルコール系シャンプーのメリット・デメリット

アミノ酸系の界面活性剤

アミノ酸系の界面活性剤は、殆どが自然界にある成分を利用したものです。

人の身体と同じ成分(タンパク質)で、弱酸性なので頭皮や髪にやさしく、程よい洗浄力と保湿性があるのが特徴です。

泡立ちが悪かったり爽快感が弱かったりといった欠点はありますが、頭皮環境の改善には適していますので、近年のヘアケアブームによる育毛シャンプーやスカルプケアシャンプーと言われるものにはこのアミノ酸系の洗浄成分を配合したシャンプーが主流となっています。

ただ、原材料費が高いため販売価格が少し高めとなります。

成分表の前の方に、

  • ココイルグルタミン酸Na
  • ココイルメチルタウリンNa
  • ココイルメチルアラニンTEA

といった成分が確認できるとアミノ酸系の界面活性剤です。

アミノ酸系シャンプーは、洗浄力はやや弱いのですが、皮脂を取り過ぎず、保湿性に富み低刺激で頭皮と髪を痛めずに優しく洗いあげることができます。
参考:アミノ酸系シャンプーのメリット・デメリント

石鹸系の界面活性剤

石鹸系の界面活性剤は、生分解性が高くそれだけ自然環境への負荷も低くなります。生分解性とは、微生物などによって無機物へ分解されることです。

石油系・高級アルコール系と比較すると頭皮への刺激は弱いのですが、脱脂力は非常に強く、皮脂を取り過ぎてしまう特徴があります。

また、アルカリ性のため弱酸性である頭皮や髪へのダメージもあるとされています。

水道水に含まれるカルシウムイオンと石鹸が結合して石鹸カスが派生するため洗い上がりが軋んだりゴワつくことがあるのも特徴です。

石鹸系のシャンプーは、洗浄力が強く皮脂を取りすぎる傾向にあるため、頭皮環境の改善、育毛という側面からみるとアミノ酸系シャンプーに軍配が上がるとされています。

成分表の前の方に、

  • 脂肪酸ナトリウム
  • 脂肪酸カリウム
  • 石けん素地
  • 石けん分

などの記載が見当たれば、石鹸系の界面活性剤です。

ドラッグストアやスーパー、量販店などで販売されいる石鹸系シャンプーのメリット・デメリットを解説しています。
参考:石鹸シャンプーのメリット・デメリット

シャンプーはアミノ酸系界面活性剤がおすすめ

シャンプーというものを評価する上でその要である洗浄成分に何が使用されているかというのは最も重要な要素の一つです。

育毛を促進するために頭皮環境を整えていきたいのであれば天然系の界面活性剤を配合しているアミノ酸系シャンプーの使用がお勧めです。

但し、シャンプーのなかには、アミノ酸シャンプーと謳いながら石油系・高級アルコール系の界面活性剤も使用しているシャンプーも見受けられますので注意が必要です。

アミノ酸配合シャンプーといった言い回しをしているものは、高級アルコール系界面活性剤や石けんなどが主成分となっているシャンプーにアミノ酸系界面活性剤を少量加えたものである可能性があるので成分表をしっかり確認して下さい。

アミノ酸系シャンプーは、刺激が弱く頭皮に優しくまた保湿性があるため、特に皮膚の弱い方や敏感肌の方、またアトピー性皮膚炎や乾燥肌などの人にもおすすめです。子供から大人まで、男性・女性とも安心して利用できます。

多少値段が高くなりますが、天然由来の成分を使用しているシャンプーを使い続けた方が、結果としては抜け毛・薄毛予防にもつながりますし、生涯にかかるコストも少なくて済むかもしれません。

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