髪の毛の構造・断面・成分

髪の毛の構造・断面・成分

ここでは、髪の毛の構造と断面、髪の毛の成分について解説します。

髪の毛の構造

髪の毛は、皮膚の外に出ている「毛幹」と、皮膚の中に入っている「毛根」とに区別されます。

さらに、毛根の下の部分のふっくら丸い部分を「毛球」といいます。毛球の中には「毛母細胞」と「毛乳頭」があります。

髪の毛の構造

毛乳頭は、毛細血管を通して運ばれてきた血液中の栄養素をエネルギーにして、さまざまな物質を分泌して毛母細胞の増殖をコントロールしています。

毛母細胞は、毛乳頭からシグナルを受け取り、増殖や分化を繰り返しながら髪の毛の製造、場合によっては髪の毛の製造を休止します。

参考:毛乳頭細胞と毛母細胞の働き

毛根は育毛のためには深いほど良く、浅いと太毛で元気な髪の毛に育ちにくい上に、本来ならまだ抜けなくても良い髪の毛が抜けてしまう異常脱毛を起こしやすくなります。

毛根が深くなると一般的に頭皮は柔らかくなります。柔らかい頭皮がいいと言われるのはこのためです。

皮脂腺はいわゆる皮脂を分泌する場所です。

頭皮には、非常に多くの皮脂腺が分布しています。

皮脂の分泌が多いと頭皮がベタついたり脂っぽかったり、また、皮膚の角質や汚れが毛穴につまり雑菌が繁殖して頭皮臭やかゆみの原因になります。

酷くなると炎症や脂漏性皮膚炎を起こす場合もあり、脂漏性脱毛症など抜け毛・薄毛に発展する場合もあります。

但し、皮脂は頭皮にとって悪いことばかりではありません。

汗と結合して皮脂膜となり頭皮を外敵から保護したり、水分を保持するなど頭皮環境を守る上で重要な役割があることから、皮脂の取りすぎはかえって頭皮環境に悪いということがわかっています。

このため、脱脂力の強い高級アルコール系洗浄成分を配合したシャンプーは敬遠され、適度な洗浄力をもったアミノ酸系シャンプーなどが人気を呼んでいます。

尚、毛根の数は 胎児の時に決まっており、その後に増えたり減ったりすることはないといわれています。通常は1つの毛穴から2~3本の髪の毛が生えています。

髪の毛の断面

髪の毛を輪切りにした場合の断面について解説します。

一本の髪は大きく分けると3つの層からなります。

外側をキューティクル
中間部をコルテックス
中心部をメデュラ
といいます。

髪の毛の断面

キューティクル(毛表皮)

キューティクルは、髪の最表面にあり、外部から毛髪内部を守り、髪に艶を与えますが、摩擦にさらされ、傷つきやすいのが特徴です。

シャンプーやリンス、コンディショナー、トリートメントなどの髪のコーティング成分はこのキューティクルに吸着して髪の毛を保護します。シリコンもその一つです。

主成分はケラチンタンパク質で半透明の鱗状のものが4枚から10枚重なって内部を守る働きをしています。一旦壊れたキューティクルは再生されません。

コルテックス(毛皮質)

コルテックスは、3層構造になっている毛髪の中間層部分に位置します。髪の90%近くを占めます。主成分は繊維状のタンパク質です。

コルテックスのタンパク質、脂質、水分量が髪のしなやかさや太さ、硬さに影響します。また、主にこの部分に含まれているメラニン顆粒によって髪の色が決定されます。

くせ毛や縮毛はこのコルテックス細胞の分布の偏りが原因と言われています。

キューティクルとコルテックスは、一般的に男性よりも女性の方が多いといわれています。このため、男性より女性の髪質が太く硬い傾向にあります。

参考:髪の毛を太くする方法

メデュラ(毛髄質)

メデュラは、タンパク質と脂質が主成分です。健康な髪のメデュラは一直線に繋がっていますが、AGA(男性型脱毛症)による抜け毛では途切れ途切れになっていたり、幼児などの細い髪には含まれていない場合もあります。

産毛や軟毛には存在せず、太くて健康な髪の大部分に見られます。毛髪の保湿機能を高める働きがあると言われています。

髪の毛の成分

髪の毛は、爪や皮膚と同じケラチンというタンパク質で構成されています。

そして、髪の毛のタンパク質は18種類のアミノ酸から構成されています。

<髪の毛を構成する18種類のアミノ酸>
アラニン、アルギニン、アルパラギン酸、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、スレオニン、セリン、チロシン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン、ロイシン

これらのうち、髪の毛に最も多く含まれるのがシスチン(システイン)です。シスチンの量が多いほど髪の毛は太くて丈夫になります。

このシスチン(システイン)は眼精疲労時の傷ついた網膜の修復時にも使用されますので、目の疲れが酷い場合は、髪の毛の製造にまわるシステインが不足して薄毛となるリスクが指摘されています。
参考:眼精疲労と薄毛の関係

また、髪の毛の色と関係しているのがチロシンです。

チロシンは、メラノサイトがメラニン色素を造る際に必要となる物質です。

チロシンは血中から運ばれてメラノサイトの「チロシナーゼ」という物質によって黒髪の元であるメラニンに変換されます。

製造されたばかりの透明の髪の毛のコルテックス部分にメラニン色素が付着され、黒髪へと変わります。

そして、メラニン色素への変換機能が弱くなると白髪となってしまいます。

黒髪は、メラニン色素が毛母細胞に送り込まれることで作られます。何らかの原因でメラニン色素が毛母細胞に送り込まれなくなることで白髪になります。
参考:白髪のメカニズムと原因