ここでは、育毛シャンプーの成分の解説などに出てくる「旧表示指定成分」とは何かを解説します。
シャンプーに配合される旧表示指定成分
旧表示指定成分とは、化粧品による肌トラブルが相次いでいた昭和40年代頃に当時の厚生省(現在の厚生労働省)が、人体(皮膚など)などに使用すると「ごくまれに重篤なアレルギーなどの皮膚トラブルを起こす恐れのある成分」と告示した成分のことです。
1980年に、102種類の原料に「香料」を加えた合計103種類が告示されました。
これらの指定成分をシャンプーや化粧品などに配合する場合は、表示指定成分として容器や包装に必ず表示するよう義務づけられていました。
現在では、およそ140種類ほどに増えていると言われています。
尚、ときどき勘違いされますが、この規定は、配合した場合の表示義務を規定したものであって、配合を禁止したものではありません。
2001年にこの表示指定成分の制度は廃止され、これに伴い、表示指定成分は旧表示指定成分と言われるようになりました。
化粧品扱いのシャンプー
表示指定制度が廃止されると、その代りに化粧品扱いのシャンプーなどには、全成分の表示が義務づけられるようになりました(全成分表示)。
また、全成分を表示する際もその順番は、配合量の多い順と定められています。
その結果、化粧品扱いの商品の場合、全成分を配合量の多い順に表示するということで、指定表示成分とそうでない成分とが順不動で混在し、どの成分が危険性が高いのかは、逆に分かり難くなりました。
このため、アレルギーや皮膚トラブルを懸念する消費者は、成分名をよく確認して購入する必要があります。
※表示指定成分の表示義務があった時代は、表示指定成分のみを表示すればよかったため、旧表示指定成分の確認が一目瞭然でした。
尚、一般的には旧表示指定成分を配合していないシャンプーや化粧品を無添加と表示しているものが多く見受けられます。
しかし、無添加というのには明確な定義はなく、化学成分を含んでいるものでも旧表示指定成分を含んでいないとして無添加商品と謳っている商品も多く見られます。無添加化粧品というものが、必ずしも肌にやさしいく安全ということを保証するものでもないので注意が必要です。
医薬部外品扱いのシャンプー
医薬部外品のシャンプーとは例えば肌荒れやにきびを防ぐといった厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されているシャンプーです。
厚生労働省が許可を受けると「薬用」とか「医薬部外品」といった表示が認められます。
これらのシャンプーには、全成分の表示が義務づけられていませんが、従来通り「表示指定成分」の表示は義務付けられています。
旧表示指定成分に指定されていない成分は安全か
旧指定成分に指定されていない成分であれば安全かというとそうではありません。
表示指定成分に指定されている成分は、あくまでも過去の報告で危険性が明らかになっているものです。表示指定成分ではない成分が、安全であるという保証はありません。
日本では表示指定成分に指定された成分は102といったところですが、ヨーロッパなどの基準が厳しい国では5,000もの成分が表示指定成分を定めています。
例えばドイツでは、日本で販売されているシャンプーでは普通に配合されているPG(プロピレングリコール)やラウリル硫酸Naは人体に有害として使用禁止になっています。
旧表示指定成分は成分名に注意
旧表示指定成分は、その名称がしっかり定められていますが、同じ成分でも、旧表示指定成分名と現在のシャンプーや化粧品に配合されている全成分表示における成分名が異なる場合があるので注意が必要です。
例えば、スーパーやドラッグストアなどで安価に販売されているションプーによく配合されている成分に「ラウレス硫酸○○」というものがありますが、これは旧表示指定成分では「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩類」と表示されています。
ラウレス硫酸○○という文字が旧表示指定成分に発見できないため、旧表示指定成分ではないと判断しがちなので、こういったものは注意が必要です。
その他にもシャンプーなどでよく配合されがちな旧表示指定成分には以下のようなものがあります。
全成分表示名:()内が旧表示指定成分名
- ラウレス硫酸○○(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩類)
- ラウリル硫酸(ラウリル硫酸塩類)
- パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)
表示指定成分として表示義務があった時代から全成分表示を義務化する時代に変わってから、旧表示指定成分を探すのが困難になりました。
何よりも「ごくまれに重篤なアレルギーなどの皮膚トラブルを起こす恐れのある成分」の名を知らないと確認できないというのがネックですし、102種類もの成分名を全て知ってボトルやパッケージの成分表を確認するとは至難の業です。
肌トラブルやアレルギーが心配な方は、せめて表示されている先頭から10個くらいの成分を確認してそれらしき成分が入ってなさそうなものを選ぶとか、無添加、と表示されているものを選ぶとかいった選び方をした方が良いでしょう。
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