薄毛を招く糖化と糖化対策

薄毛を招く糖化とは

薄毛・抜け毛を招く可能性があると言われる「糖化」とはどういう現象なのか。ここでは、糖化と薄毛の関係、また、その予防と対策を解説します。

糖化とは

活性酸素による「酸化」は老化の元凶としてメディアでもよく取り上げられているため耳にしたことがある方も多いと思いますが、「糖化」も老化の元凶の一つ です。

酸化が「体の錆」と言われているのに対して、糖化は「体の焦げ」とも呼ばれているほど老化とは密接なかかわりを持っています。

糖化とは、「余分な糖」が「タンパク質」と「熱」と反応して「AGE(終末糖化産物or最終糖化生成物)」という劣化したタンパク質(老化物質)を生成する現象です。

AGE(終末糖化産物)は、老化を進める原因物質とされています。

薄毛を招く糖化とは

よく例えられるのがホットケーキです。

ホットケーキを焼くと小麦粉や砂糖に含まれる糖と卵や牛乳に含まれるタンパク質が反応してこんがりと褐色に反応して硬くなりますが、これが糖化と言われるもので、この反応のことをメイラード反応といいます。

実は人間の身体でもこれと同じような現象が起きています。

体の一部がタンパク質で構成されており、糖は食事などから摂取され、体温という熱がありますので、糖化は完全に防ぐことはできません。

糖化の主な原因

糖化は2つのパターンで進行します。

一つは、食事などで過剰摂取した糖質が血中で余り、人間の体の細胞や組織を作っているタンパク質と結びつき、体温で温められることでAGEが作られるパターンです。

糖分の多い食生活では、食後1時間程度経って血糖値が上がった時に体にAGEができやすくなると考えられています。

特に、この時の血糖値が150や200を超えている場合に糖化は進むと言われていますので、糖質の多い食事には要注意です。

糖の過剰摂取などで高血糖状態が続いたりするとこの糖化が進み、AGEが体内に蓄積されていくことで老化も加速することがわかってきています。

もう一つは、AGEを多く含む食べ物を摂るパターンです。一般的に糖分とたんぱく質を高温加熱した食品はAGEを多く含みますので要注意です。

糖化と薄毛との関係

糖質は、人間の生命維持に必要不可欠なエネルギー源ですが、糖質を過剰に摂取すると、糖化によって老化物質AGEが体内へ蓄積されていきます。

AGE(終末糖化産物)が体内に溜まっていくと、内臓をはじめとする体内組織に作用して、身体の様々な機能に支障をきたすようになることが知られています。

肌のハリや弾力、艶の低下、シミやくすみのリスクや、また骨をもろくさせ、骨粗しょう症のリスクも高まると言われています。

また、内臓や血管で糖化が起こると動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞、また、糖尿病やアルツハイマー、白内障などの病気リスクを高めることも明らかになってきています。

参考:OMRON:老化の原因「糖化」を防止しよう

頭皮(肌)の糖化も例外ではありません。

頭皮の真皮層には、髪の毛を支えるコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質が存在しますが、ここで糖化が起こると、真皮層は柔軟性や弾力を失い、硬化してしまいます。

真皮層

頭皮が硬くなると髪の製造のために酸素や栄養素を運ぶ血液の流れが悪くなり、毛乳頭・毛母細胞の活動にも悪影響を及ぼし、薄毛・抜け毛・細毛、また白髪の原因にもなってしまうと考えられています。

実際、ライオン株式会社の研究によると薄毛と頭皮の硬さには関係があり薄毛グループの頭皮は薄毛でないグループの頭皮に比べて硬い傾向があることがわかっています。

「薄毛グループ」は「薄毛でないグループ」と比較して、有意差をもって頭皮が硬く、「薄毛の程度」と「頭皮の硬さ」は相関していました。
引用元:ライオン株式会社:髪が薄い人は頭皮が硬いことを確認

頭皮が硬いとハゲになりやすいというのは、都市伝説ではないようですので抜け毛・薄毛予防には頭皮を柔らかくすることのほうが良さそうです。

参考:頭皮を柔らかくして育毛促進

糖化対策

糖化の主な原因は糖質の過剰摂取です。特に血糖値が高くなると糖化リスクも高くなると言われています。糖化対策としては以下のようなものが考えられます。

糖質の摂取を抑えた生活

糖質の摂取を抑えた生活が糖化対策の基本となります。炭水化物ダイエットが流行ってますが、糖化対策(抗糖化)としてはおすすめです。

但し、糖質は、本来、人間の生命活動には必要不可欠な成分なので「抜く」のではなく、あくまでも「制限する」のが原則です。

また、AGE自体を大量に含んでいる食べ物としては、ベーコン、バター、鶏肉(丸焼きバーベキュー)、フランクフルト(直火焼き)、牛肉(ステーキ)などがあります。

どれもがこんがりキツネ色をしていたり香ばしい香りがしたりするものですので、摂りすぎないように注意しなければなりません。

AGEは加熱温度が高いほど多く発生する傾向があります。唐揚げなど高温の油で調理した動物性脂肪食品に特に多く含まれます。

低GI値の食品を選ぶ

老化物質であるAGE(終末糖化産物)が体にできやすいのは、食後1時間ほどだと言われており、血糖値が急上昇する時に糖化が起こりやすいと言われています。

そこで、食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが重要となります。

一つの対策としては、食後に急激に血糖値が上がらない食品を選ぶことがです。

血糖値の上昇する割合を数値化したものをGI値といいますが、GI値の数字が低い食品ほど血糖値が上がりにくい指標となります。

低GI値の食品は、主食では、パスタやおかゆ、野菜類では、キャベツやレタス、トマトやキュウリ、たまねぎなどです。同じ主食でも精白米や食パン、うどんなどが、野菜類ではじゃがいもやにんじんはGI値が高くなります。

ベジタブルファースト

食事の際は、食べる順番として野菜を先に食べる(ベジタブルファースト)ようにすると血糖値の上昇を抑えられると言われています。

先に食べた野菜サラダやキノコ・海藻類などの食物繊維で後から食べる糖の吸収を遅らせることができるからだと言われています。

食後の有酸素運動

食後のウォーキングなど軽い運動は筋肉が糖を消費するため、血糖値を下げるのに効果的だと言われています。食後30分ほどして軽い運動をするのは糖化対策として有効と考えられています。

軽い運動(特に有酸素運動)は、さまざまな生活習慣病のリスクを抑える効果があるだけでなくそれ単体でも抜け毛や薄毛対策として有効とされています。

是非、日常に取り入れるようにしましょう。

禁煙

タバコの煙がAGEを増やすことも判明しています。

喫煙者は非喫煙者に比べて糖化のリスクが高いと言われています。喫煙は血管を収縮させ、それだけでも薄毛や抜け毛の原因となる場合があるので、育毛を実践する場合は禁煙しましょう。

参考:喫煙と育毛の関係

紫外線対策

紫外線を多く浴びた皮膚ほど糖化リスクが高いと言われています。

特に頭皮は身体の中でも大量の紫外線を浴びる箇所です。外出の際は帽子や日傘、サングラスなどで紫外線対策をしたり、いつも頭髪の分け目が同じ人はときどき分け目を変えたりするのも効果的です。

その他

糖化対策としては質の良い睡眠を取ることも大事だと言われています。

睡眠時間についても短時間(概ね6時間以下)が続くと肌の代謝に悪影響を与え、AGEが排出されにくくなると考えられていますのでできれば7時間程度の睡眠をとるようにしましょう。