ここでは、男性特有の薄毛・抜け毛の原因と対策を解説しています。
男性の薄毛のタイプ
日本人成人男性の3人に1人のおよそ1300万人が薄毛を気にしているといわれており、そのうちの9割以上がAGA(男性型脱毛症)が原因だと言われています。
AGAによる男性の薄毛のタイプには、
- 頭頂部のつむじ周りから薄くなっていく「O型」
- おでこの両端の生え際から薄くなっていく「M型」
- 2つが合わさった「複合型」
などがあります。
O型の薄毛は、正面からは分かりづらく初期段階では本人さえも発見しずらい薄毛のタイプです。ある日突然、他人に指摘されるなどして発見されることが多く、進行が進むと後頭部を残し、全体的に薄毛・ハゲになってしまう場合があります。
M型の薄毛は、前頭部の剃りこみ部分が徐々に薄くなっていくタイプです。
M型、O型ともに進行が進むとM型O型を合わせた複合型となり、末期には前頭部から頭頂部にかけて全体的に薄毛・ハゲに進行してしまう場合があります。
男性の薄毛の原因
男性の薄毛の原因の90%以上がAGA(男性型脱毛症)によるものと言われていますが、AGAは男性ホルモンが深く関係しています。
AGA(男性型脱毛症)
AGAのメカニズムはおよそ以下の通りと考えられています。
男性ホルモンであるテストステロンは、骨格や筋肉の形成や体毛・ヒゲ・陰毛などの成長を促し、性欲の亢進や生殖器の発育などに影響を与えるホルモンで、男性的な体作りや精神作りに作用します。
男性の場合、主に精巣(睾丸)で生成さるテストステロンは、血液を通して体中を巡りますが、頭皮の毛乳頭などに潜んでいる5αリダクターゼという因子と結びつくとDHT(ジヒドロテストステロン)という強力な男性ホルモンに変質します。
産出されたDHTは同じく毛乳頭細胞に存在するアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)と結合し、脱毛因子を生成。脱毛因子が毛母細胞に送られると毛母細胞は髪の毛の製造活動を抑制するようになります。この流れで脱毛が起こります。
髪の毛にはヘアサイクルというものがあります。
正常時は2年から6年の間、髪の毛は伸び続けますが、AGAを発症すると、その成長期間が大幅にカットされ、太く長く育つ前に抜け落ちてしまします。
このような流れで薄毛が進行していく症状をAGA(男性型脱毛症)と呼んでいます。
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女性の場合も女性ホルモンの分泌量の現象により男性ホルモンが優位になり、これと同じようなメカニズムで薄毛が進行する場合もあると考えられています。
女性の場合は、男性のAGAと区別してFAGAと呼んでいます。
M型やO型の薄毛が多いのは、生え際や頭頂部に5αリダクターゼ(主にⅡ型)やアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)が数多く分布しているためだといわれています。
AGAは、遺伝に関係していると言われており、
- 5αリダクターゼを活性しやすい体質
- 感受性の強いアンドロゲンレセプター
を親から引き継いでしまうことでAGAを発症しやすくなると考えられています。
このような体質を遺伝した人は若いうちから薄毛になる傾向が高いと考えられています。
ここでは、薄毛(ハゲ)は遺伝が関係しているのか、遺伝と薄毛(ハゲ)の関係を現時点でわかっている範囲で解説します。薄毛(ハゲ)は遺伝するのか?結論から言うと、男性の場合、AGA(男性型脱毛症)による薄毛(ハゲ)は、遺伝と大きく[…]
脂漏性脱毛症・批糠性脱毛症
脂漏性脱毛症は皮脂分泌が過剰になり、毛穴につまった皮脂とそれを好み異常繁殖するマセラチア菌が原因で炎症が進み、脱毛を引き起こす症状です。
マセラチア菌は常在菌で誰の頭皮にも存在しますが、皮脂分泌が盛んに行われるとマセラチア菌が異常増殖し、分解されたオレイン酸やアラキドン酸という不飽和脂肪酸が原因でかゆみや炎症を起こし、脂漏性皮膚炎につながるとされています。
粃糠性脱毛症は、カサカサに乾燥したフケが大量に発生し、これらが毛穴を塞いだり炎症を起こすきっかけとなることで抜け毛が大量に増えるものです。この場合もマセラチア菌が原因で炎症が進み、脱毛を引き起こします。
いずれも男性に多い脱毛症ですが、女性でも発症します。
ストレスや生活習慣の乱れ、バランスの悪い食事
男性・女性共通ですがストレスや生活習慣の乱れ、バランスの悪い偏った食事なども薄毛や抜け毛に影響を与えます。
そして、これらは、AGAなどによる薄毛の進行を加速させるとも言われています。
ストレスや生活習慣の乱れ
ストレスや生活習慣の乱れにより自律神経やホルモンバランスが乱れると血流が悪化し、栄養分を毛根に十分運べなくなります。
睡眠不足や運動不足、喫煙、過度なダイエットなども自律神経やホルモンバランスを乱す原因となり、薄毛を促進させると言われています。
また、仕事や勉強、パソコンなど長時間の緊張継続は神経系に影響し、毛細血管を収縮させ、その結果、血流不足による脱毛が進行する可能性が高くなるとされています。
バランスの悪い食事
髪の毛の生成に必須とされるビタミンやミネラルは日常の食生活では十分に摂取できない場合が殆どです。必要に応じてサプリメントなどで摂取することをお勧めします。
また、肉類や油ものの摂りすぎなど偏った食事も髪に栄養が行き渡りにくくなります。
さらに、仕事などでパソコンを長時間使ったり趣味でゲームを長時間するなどして目を酷使すると、眼精疲労や肩こりによって血行不良となり育毛に悪影響を及ぼすことが指摘されています。
眼精疲労により網膜が傷ついた場合は、髪の毛の製造に欠かせないシステインというアミノ酸が、その修復のために消費され、髪の毛の製造にまわる栄養が不足して薄毛を招くとの見解もあります。
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男性の薄毛対策
まずは、薄毛の原因を特定することが先決です。
そして、薄毛の原因が特定すればその原因に的確にアプローチしていくことが重要です。
日常生活・食生活の改善
抜け毛・薄毛の対策として、まず行うべきことは、何と言っても日常生活や食生活の改善です。
不規則な生活やバランスの悪い食事は、抜け毛・薄毛に直接的に影響しているだけでなく、AGAなどの進行を加速させるということがわかっています。
常日頃から規則正しい生活、質の良い睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、ストレスの発散などを心がける必要があります。
特に質の良い睡眠は大事だと言われています。
質の良い睡眠は成長因子の分泌を促進します。成長因子は髪の製造に深い関わりを持つ物質で、AGA治療薬として有名なミノキシジル(大正製薬:リアップの有効成分)も成長因子の産出を促進させることで薄毛を改善させる作用を持っています。
適度な運動(特にウォーキングなどの有酸素運動)は、身体の緊張をほぐし血流を改善、ストレス解消にもなり、それだけでも薄毛対策としておすすめですが、質のいい睡眠にもつながるという点でもおすすめです。
運動不足の人は是非、日常に有酸素運動を取り入れて下さい。
尚、育毛を考える場合、禁煙は必須です。ニコチンは、栄養を運ぶ血管を収縮させ、ビタミンを破壊する作用があるほか、悪玉男性ホルモン(DHT)を増加させるという調査結果もあります。
喫煙はそのほかにも様々な病気や健康被害のリスクを高めますので喫煙している方は禁煙するようにしましょう。
育毛剤等の活用
薄毛の原因がAGAである場合は、日常生活や食生活の改善だけでは薄毛対策として不完全です。
AGAはいわば病的な症状でしかも進行型ですので放置せずに、できるだけ早いうちからしっかりしたAGA対策を打つ必要があります。
AGA対策として、日常生活で手軽にできる有効なヘアケア対策・薄毛対策が育毛シャンプーや育毛剤、サプリメントの活用です。
シャンプーについては、頭皮環境に悪影響を及ぼす成分を配合したシャンプーの使用は避け、質の良い育毛シャンプーに変えるだけで将来の薄毛リスクを減少させることができますし、現在、既に育毛剤等を使用している場合は、育毛シャンプーとの併用で相乗効果が期待できます。
育毛を考慮する場合は、低刺激で頭皮に優しく、適度な洗浄力で保湿性に優れたアミノ酸系の洗浄成分を配合したシャンプーがおすすめです。
特に最近では、アミノ酸系洗浄成分をベースに、血行促進をはじめ、AGA対策成分としても育毛剤レベルに配合される成分も配合されるようになってきてますので、AGA対策としても微力ながら期待が持てます。
さらに薄毛が進行している場合は、育毛剤や育毛サプリメントの使用がおすすめです。
注意すべきは男性と女性では薄毛の原因も異なることから育毛剤も自分の薄毛の原因にアプローチするものを選ぶことです。
AGAを発症しているのに市販の血行を促進するタイプの育毛剤を選び、効果が無いと嘆くパターンは良くあることです。必ず、AGAの原因にアプローチする成分を配合している育毛剤や育毛サプリメントを選ぶようにしましょう。