女性の薄毛の原因と対策

女性の薄毛の原因と対策

ここでは、近年、増加傾向にあると言われている女性の薄毛・抜け毛の原因と対策について解説しています。

増加している女性の薄毛

薄毛とは、髪の毛の量が減ったり髪の毛が痩せ細って髪の毛のボリュームが落ちたり、頭皮の地肌が目立つようになってしまう状態です。

薄毛の悩みは男性に多いというイメージがありますが、近年は女性の薄毛が急激に増加してきていると言われており、600万人以上の女性が薄毛で悩んでいると言われています。

これには、女性の社会進出の増加に伴い、ストレスによる女性ホルモンの乱れが関わっていると考えられています。

男性が前頭部生え際部分がM字型に後退したり、つむじ周りの頭頂部分が薄くなっていくのに対して、女性の場合は、頭部全体の毛髪のハリやコシが全体的に落ちて細くなり、密度が低くなることで地肌が目立ってくるのが特徴です。

女性の抜け毛・薄毛の原因

女性の薄毛の原因としては主に以下のようなものが考えられています。

尚、脱毛症の分類の仕方は確立されておらず、男性のAGAや女性のびまん性脱毛症が休止期脱毛症として分類されていたり、それぞれが別の脱毛症として分類されている場合もありますが、ここでは女性の薄毛の原因を解説するために以下の3つに分類しています。

  • びまん性脱毛症(慢性休止期脱毛症・FAGA)
  • 分娩後脱毛症
  • 牽引性脱毛症

びまん性脱毛症

女性の薄毛・脱毛症で最も多いのがびまん性脱毛症です。男性のように生え際や頭頂部といった特定の場所から薄毛が進行するのではなく、全体的に髪が薄くなって髪の密度が減り、スカスカになった髪の間から地肌が透けて見えるのが特徴です。

そして、こういった女性の抜け毛や薄毛には、女性ホルモンの分泌量が大きく関わっていると考えられています。

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。

エストロゲンは、髪の毛に関してもハリ・艶のある美しい髪をつくり、ヘアサイクルの成長期の期間を延長するよう働きかける作用があるとされており、プロゲステロンにもエストロゲン同様、ヘアサイクルの成長期の期間を延長するよう働きかける作用があると考えられています。

しかし、加齢や更年期、ストレス、無理なダイエットなどでこれら女性ホルモンの分泌量が減少すると育毛・発毛作用が抑制され、女性の薄毛・抜け毛が進行していきます。そして、閉経後ともなるとエストロゲンの分泌が殆どなくなり男性ホルモンが相対的に高くなり抜け毛・薄毛の進行を加速させるといった現象も起こります。

また、加齢や閉経に限らず、最近では20代~30代の女性の若年性の脱毛症が増えてきています。これは女性の社会進出と社会の近代化に伴うストレスの増加や無理なダイエットなどによる栄養バランスの乱れなどに伴うものと考えられています。

これらが原因で自律神経が乱れ、血行も悪くなりホルモンバランスを乱してびまん性脱毛症といった脱毛症を引き起こしてしまうと考えられています。

慢性休止期脱毛症、女性男性型脱毛症(FAGA)といったものが、びまん性脱毛症に分類される脱毛症として有名ですが、慢性休止期脱毛症と女性男性型脱毛症(FAGA)は同じものと解釈しているところもあります。

慢性休止期脱毛症

休止期脱毛症とは、成長期にある毛髪が急激に休止期の移行して抜け落ちる脱毛症です。女性の薄毛の悩みの過半数に達するといわれています。

原因は、ホルモンバランスの乱れや過度のストレスをはじめとした精神的な影響や栄養不足、睡眠不足、また、甲状腺ホルモンは毛周期に影響を与えるので、甲状腺の疾患を持っていると、休止期の毛が多くなり一つの要因になると考えられています。

特に毛髪の休止期が6ヶ月以上の長期に渡る場合を慢性休止期脱毛症(CTE)と言い、この状態の髪の毛の割合が増加すると地肌もより目立つようになります。慢性休止期脱毛症は、男性でも発症します。

女性男性型脱毛症(FAGA)

微量ですが、女性にも男性ホルモンが存在しています。若い時は女性ホルモンの影に隠れていますが、加齢や更年期、閉経、過度なストレスや無理なダイエットなどで女性ホルモンが減少すると、男性ホルモンの存在が優位に立つようになります。

詳細は解明はされていないようですが、男性ホルモンが優位に立つと男性の抜け毛・薄毛同様、AGA(男性型脱毛症)と同じメカニズムで女性も薄毛になるのではないかと考えられています。

ちょっと難しい話になりますが、AGAは、男性ホルモンであるテストステロンと毛乳頭細胞に存在する5αリダクターゼという酵素が結合することでDHTというより強力な男性ホルモンに変化し、そのDHTが同じく毛乳頭細胞に存在するアンドロゲンレセプターと結合することで毛母細胞に脱毛指令を出し、進行していきます。

AGA(男性型脱毛症)の流れ

男性ホルモンの存在が優位なった女性もこのAGAを発症する場合があると考えられています。これがFAGA(女性の男性型脱毛症)です。

AGA(男性型脱毛症)とFAGA(女性の男性型脱毛症)では、一般的に脱毛の仕方が異なります。男性の場合は頭頂部のつむじ周りや前頭部の生え際など局所的に薄くなってくるのが特徴ですが、FAGAは、髪の毛全体がまんべんなく薄く細くボリュームが無くなってしまい、頭髪の間から頭皮が透けて見えるようになります。

FAGA(びまん性脱毛症)の原因は多岐に渡り、多くの場合は加齢や更年期、閉経よる女性ホルモンの分泌量の減少によるものですが、その他にも過度のストレスや生活習慣の乱れ、また、女性に多い絶食や無理な節食、極端な偏食によるダイエットなどもホルモンバランスを乱す原因となりFAGA(びまん性脱毛症)の原因となることがあると考えられています。

分娩後脱毛症(産後脱毛症)

女性特有の脱毛症に分娩後脱毛症があります。この場合もやはり女性ホルモンの分泌量の変化で脱毛が起こると考えられています。

妊娠時は、体内で女性ホルモンである卵胞ホルモン「エストロゲン」と黄体ホルモン「プロゲステロン」が活発になります。妊婦の母体はこれらの女性ホルモンの分泌によって安全な出産に備えることができます。

女性ホルモンは、毛髪の成長にも働きかけます。その結果、妊娠期間中は、ヘアサイクルの成長期段階の髪の割合が増加し、抜け毛が抑えられますが、出産して妊娠が終わり、急激に女性ホルモンの分泌量が減ると(妊娠前に戻ると)その反動で成長していた髪の毛が一気に抜け落ちてしまい、異常な脱毛症状を起こすことがあります。

これを分娩後脱毛症、または産後脱毛症と言い、出産した多くの女性が経験します。

出産後、急激な異常脱毛に驚く場合がありますが、通常は、妊娠・出産を無事に終えて半年から1年で女性ホルモンのバランスも正常化してきますので、髪の毛も以前のような健やかな状態に戻っていきます。

但し、出産後の育児ストレスなどで自律神経を乱してホルモンの分泌が正常化するまでに時間がかかる場合もあります。

経口避妊薬

分娩後脱毛症(産後脱毛症)と同じような原理の脱毛症にピル(経口避妊薬)の服用中止による脱毛があります。

ピルの中には、エストロゲンとプロゲステロンと似た成分を配合しているものがありますが、このピルを一定期間服用すると、妊娠中と同じようなメカニズムで副作用として抜け毛が抑えられます。

女性のからだは毎月、排卵、受精・妊娠の準備、月経を繰り返していますが、その周期をコントロールしているのは、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンです。

通常はこのホルモンが卵巣を刺激して排卵が起こるのですが、経口避妊薬(低用量ピル)を飲むと脳下垂体は女性ホルモンがあると判断して性腺刺激ホルモンの分泌を抑えます。その結果、排卵が抑えられます。

経口避妊薬の服用を中止すると出産時と同じように女性ホルモンの分泌量が急激に減少し、その反動で抜け毛が起こりやすくなるという訳です。

牽引性脱毛症

牽引性脱毛症とはその名の通り、髪の毛を引っ張ることによって髪の毛が抜けてしまう症状です。牽引性脱毛症は近年日本人女性の間で増えてきている脱毛症の一つで、ポニーテールやお団子ヘアなどで長い期間、髪の毛を引っ張り続けたりすることで前髪の生え際部分や分け目部分の髪が徐々に薄くなっていきます。

一度引っ張って抜けるような強い力でなくても、少しずつ毛根に負担をかけるような力で引っ張り続けることで毛根が弱ってしまい、やがて抜け落ちてしまいます。

毛根が弱るという意味では自毛に髪を付け足すエクステなどもあまり長時間するのは避けた良いでしょう。

稀ですが、牽引性脱毛症は男性にも見られる症状です。

牽引性脱毛症は、通常は、引っ張ることを止めることで徐々に改善していきます。

ストレスや食事・生活習慣の乱れは脱毛症を加速

その他、男性の薄毛の原因同様、ストレスや不規則な生活、バランスの悪い食事、運動不足、睡眠不足、喫煙などは、各脱毛症を加速させてしまいます。

規則正しい生活、質の良い睡眠、バランスの良い食事、適度な運動や趣味などによるストレスの解消などを心がけた生活を送りましょう。

女性の抜け毛・薄毛の改善策

不規則な生活や偏った食事などの生活習慣は自ら改善していく必要があります。特にホルモンバランスの乱れによる女性の薄毛の場合は、男性のAGAと比較して生活習慣や食事などを改善することで比較的簡単に薄毛を改善できると考えられています。

女性の場合はホルモンのバランスの変化(主に女性ホルモンの減少)が薄毛を招いているので、まずは、

  • バランスの良い食事を摂る
  • 規則正しい生活をする
  • 睡眠をしっかりとる
  • 適度な運動をする
  • ストレスを発散する
  • 禁煙をする

といった日常生活の改善が重要かつ有効です。

髪の毛は身体に取り入れる食事から造られますし、適度な運動は、身体の緊張をほぐし血流を改善、ストレス解消にもなり質のいい睡眠にもつながります。運動不足の人は是非、日常に有酸素運動を取り入れて下さい。

さらに、身近なヘアケア対策として市販されている女性用の育毛シャンプーや育毛剤、育毛サプリメントなどを活用する方法もおすすめです。

近年の女性用の育毛シャンプー、スカルプシャンプーや育毛剤、育毛サプリメントと言われるものは、女性の抜け毛・薄毛を改善すべく血行の促進や保湿、ホルモンバランスの正常化に働きかける成分を研究・配合し、育毛を強力に補助してくれます。

是非活用してみることをおすすめします。

進行が進んでいない場合は、女性の薄毛対策育毛シャンプー、進行が進んで頭皮の地肌が薄らと見えるようになってきた場合は、育毛剤育毛サプリメントをおすすめします。

特に女性の脱毛症として一番多いと言われるびまん性脱毛症(慢性休止期脱毛症・FAGA)には、成長因子を増やす作用があるミノキシジルも有効と言われています。

大正製薬が販売するリアップジェンヌには、ミノキシジルが1%配合されていますので様々な対策を講じても改善する気配がない場合は、医薬品ですがこういった育毛剤を使用しても良いと思います。

また、女性ホルモン対策として女性ホルモンと類似した作用を持つイソフラボンなどをサプリメントで摂取するのもおすすめです。

特に大豆製品(大豆イソフラボン)を摂取した時に、体内に存在する腸内細菌の力で生成されるエクオールという成分には、女性ホルモンに似た働きをするエストロゲン様作用や身体のさびを抑制する抗酸化作用の効果があるとされています。

特に男性ホルモンのアンドロゲンの働きを抑える作用は、男性のAGAによる脱毛や女性のFAGAによる脱毛を予防したり改善したりする働きがあると考えられています。

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