再生医療による薄毛治療とは?そのメリットとデメリット

再生医療による薄毛治療とは?そのメリットとデメリット

再生医療による毛髪の再生が近い将来実用化されるようです。薄毛、脱毛症で悩む時代は終わるのでしょうか。

ここでは再生医療による薄毛治療は何が凄いのか、他の薄毛治療と比較してどういうメリット・デメリットがあるのかを解説しています。

再生治療は毛包を培養して毛髪を再生

髪の毛の元を大量に作り、患者の頭部に移植して毛髪を再生。そんな夢のような話が近い将来、現実になるかもしれません。

研究グループは髪の生えた後頭部などの皮膚から3種類の幹細胞を抽出し髪の毛を作り出す「毛包」の種を培養。マウスに移植しヒトの毛髪を生やすことに成功した。この技術で約20日間で髪の毛1万本に相当するおよそ5000の「毛包」を作り出せるとしている。
引用元:FNN PRIME 脱毛症」に画期的治療法!? 理研が「毛包」の大量培養に成功

理化学研究所(理研)とオーガンテクノロジーズは、人の髪の毛のもとになる毛包組織を培養して大量に増やす再生医療技術を開発したと発表しました。

人の頭の皮膚から取り出した3種類の幹細胞を組み合わせ、毛包と同じ能力を持つと考えられる組織を作製することに成功。

京セラと協力して機械を使って安定した品質で大量に増やす技術も開発。

2019年には臨床研究をはじめ2020年に実用化を目指すとしていましたが、2021年現在、計画は難航しているようです。

毛髪作る「毛包」大量増幅法を開発 理研など、脱毛治療に望み サイエンスポータル 

毛包の再生医療は何が凄いのか、そのメリット

男性の脱毛症として最も多いのが、AGA(男性型脱毛症)です。

AGAは男性ホルモン(DHT)の影響を受けて脱毛しますが、AGAを発症した場合でも後頭部や側頭部は薄毛になりません。

これは後頭部や側頭部の髪の毛が男性ホルモン(DHT)の影響を受けないためです。

増やせる髪の毛の本数に制限がない

この毛髪の性質を利用した薄毛治療が自毛植毛です。

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自毛植毛は、AGAの影響を受けない後頭部や側頭部の髪の毛を前頭部の生え際や頭頂部など薄毛になった部分に移植することで行われます。

しかし、自毛植毛は、移植元の髪の毛が少ない場合は移植できませんし、例えば5000本の髪の毛を移植すれば後頭部からは5000本の髪の毛が失われることになります。

つまり、自毛植毛には移植する髪の毛の本数に限界があります。

これに対して再生医療によれば、必要最小限の髪の毛を採取してそれを培養することで大量の髪の毛に増やすことができる訳ですから、既存する髪の毛の本数に関係なく髪の毛を増やすことができるというメリットがあります。

治療薬が使えない人でも治療できる

フィナステリドやミノキシジルなどの治療薬は、体質や持病によって副作用が出たり使えない人もいます。

また、フィナステリドなどのように女性が使えない治療薬もあります。

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その点、再生医療であれば、問題なく治療が行えます。

確実に増やせる

各種育毛剤や薬剤による治療は、必ずしも効果があるとは限りません。

効果があったとしても満足のいく効果かどうかは個人差があります。

これに対して、植毛もそうですが毛髪の再生医療による場合は、毛包(髪の毛のもと)ごと頭皮に植え付けますので、殆どの場合、確実な効果が期待できます。

植え付けた毛包は時間とともに頭皮になじみ、毛細血管から栄養や酸素を受け取って、他の髪同様、成長し、抜けては生えるを繰り返すようになります。

AGAの影響を受けない毛包なので、その後AGAが原因で抜けることもまずありません。

ただ、再生医療の場合、毛包を埋め込む方法などは今のところどのようになるの不明です。

自然な仕上がりにするために高度な技術が必要になる場合は、治療を行うクリニックや医師で出来栄えの差が生まれることになります。

そうでない場合は、医師であれば誰でも治療ができ、いい意味で医師の技術が問われる現在の植毛とは違いどこでも治療が受けられることになることが予想されます。

再生治療のデメリット

治療費が高額

とはいえ、最先端の治療で保険も適用できないと予想されることから、当面は相当に高額な治療費になることが予想されます。

先日放送されたテレビ番組では、細胞1種類で1,500万円ほどの費用がかかると言っていました。

1つの毛包を完成させるためには上皮性幹細胞と毛乳頭細胞、色素性幹細胞の3種類の細胞が必要ということでしたのでおよそ5,000万円ほどかかることになります。

一般の庶民に手が届く金額になるまでには相当な時間がかかることが予想され、それまでは従来の育毛剤を使用したり、AGA治療、植毛などが活用されることになると思われます。

再生医療の利用はまだ先?

ということで、再生医療による薄毛治療は当面は高額の治療費が予想され、利用できるのは一部の金銭的余裕のある方だけだと予想されます。

一般の人が気軽に再生医療で治療ができるほど治療費が安価になるのは少なくとも10年単位の時間がかかるのではないかと思います。

とはいえ、数年前までは夢のような話が、今は現実のものになろうとしていることも事実です。10年、20年と経った頃には薄毛で悩む人もいなくなるかもしれません。

薄毛で悩むのは過去の話。そんな世界が早く訪れてほしいものです。