有酸素運動はAGAによる薄毛にも有効か

有酸素運動はAGAによる薄毛にも有効か

有酸素運動は薄毛対策として有効と言われていますが、AGAによる薄毛にも改善効果はあるのでしょうか。ここでは有酸素運動が育毛に与える効果について検証してみます。

有酸素運動とは

有酸素運動とは、身体にある程度以上の負荷をかけながら、ある程度長い間継続して行う運動で体脂肪を燃焼させるためにその材料として酸素が必要とされる運動のことです。

酸素を必要としない瞬間的な強い力を必要とする無酸素運動と分けて使用されます。

有酸素運動の代表的なものには、ウォーキングや軽いランニング、軽いスウィミング、エアロビクス、サイクリングなどがあげられます。

継続することであらゆる病気のリスクを下げ、身体だけでなく心の健康状態にも良い影響を与えると言われており、近年、有酸素運動がいかに健康維持・促進に効果的かとテレビなどでも執拗に放映されているのは周知の通りです。

そしてこの有酸素運動、育毛促進が期待される数多くの働きがあると考えられています。

有酸素運動の薄毛改善効果

有酸素運動

有酸素運動には薄毛の改善が期待できる以下の4つ作用が考えられます。

血行を促進して髪に栄養素を運ぶ

AGA(男性型脱毛症)を発症する人は低体温症の人が多いと言われています。これは低体温による新陳代謝の低下や血流の低下が一つの原因だと考えられています。

髪の毛は、血液を通して運ばれてくる酸素や栄養素を元に製造されますが、血流の低下で運ばれてくる酸素や栄養素が少なくなれば育毛にも支障をきたしてしまいます。

また、AGAの原因物質とされるDHT(ジヒドロテストステロン)は、頭皮の体温や血流量が低下すると増加する傾向があると考えられており、さらにDHTが増加するとその影響で頭皮の体温や血流量は低下すると考えられています。

このようにAGAを発症すると悪循環とも言える状況に陥ってしまいますが、有酸素運動は、体温を上昇させ、血行を促進させることで酸素や栄養素を髪を製造する毛乳頭や毛母細胞へ供給される確率を高くし、さらに、体温の上昇効果でDHTの増加を抑えることが期待できます。

育毛シャンプーや育毛剤の多くが育毛を促進する目的で血行を促進する成分を配合しているように、血行が良くなると育毛にもプラスに働きます。

毛細血管を増やして育毛

毛細血管とは、体のあちこちに張り巡らされている動脈と静脈をつなぐ細い血管のことです。全身の血管の99%を占めていると言われており、その全長は約10万キロ(およそ地球2周半分)とも言われています。

直径約5~15ミクロン程度の肉眼では確認するのが困難なほど細い血管で、体の隅々まで血液を行き渡らせ、酸素と栄養を運ぶ役割を果たしています。

当然、この毛細血管が減少したり劣化が進むと、身体全体の老化が進み身体のあちこちに不調をきたすようになります。

その影響は単に肌や筋肉といった表面的なものだけではなく、体内の様々な臓器や脳にまで影響を及ぼします。

毛細血管は、加齢やストレスで減少し、60歳にもなるとピーク時の4割ほども減ってしまうと言われていますが、実は有酸素運動や食事、マッサージなどで比較的簡単に発達させたり、新しく増やす(新生)ことができると言われています。

日頃から有酸素運動などを行うことで慢性的に血流をアップしておくと、血液中の余分な脂肪が減少し、血液がサラサラになって体の隅々まで酸素や栄養が行きわたるようになり、それが刺激となって新しい毛細血管が作られます。

頭皮においても毛細血管が発達したり新生されたりすると髪の製造に必要な栄養素が必要な箇所に行き渡りやすくなり、栄養不足による薄毛リスクも減少するばかりでなく、毛細血管の増加と血行促進作用で、髪を太くするという効果も期待できます。

有酸素運動は、長い時間行う必要はありませんが、20分から30分、週に3~4回以上、できればほぼ毎日を長期間にわたって継続して行うことが重要です。

参考:毛細血管を増やして育毛

遊離テストステロン値の抑制

AGA(男性型脱毛症)の原因と言われるDHT(ジヒドロテストステロン)は、男性ホルモンである(遊離)テストステロンと5αリダクターゼという酵素が結びつくことで産出されることから、遊離テストステロンは、AGAとの深い因果関係があることがわかります。

適度な有酸素運動は、この遊離テストステロンの値を抑制する作用があるとされているため、抜け毛・薄毛の原因とされるDHT生成の抑制につながると考えられており、その結果、AGAの進行抑制にも効果が期待できると考えられています。

有酸素運動で汗と一緒にDHTを排出

AGAの根源とされる悪玉男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)ですが、汗や尿で体外に排出することが可能と考えられています。

特に発汗による排出の場合が有効とされていますので、有酸素運動によって発汗することはDHTの対外への排出という面でも有効です。

DHTの排出という意味ではお風呂やサウナなどで汗を流すのもいいかもしれません。

ただ、汗は皮脂も一緒に排出しますので汗をかいた後はシャンプーなどをして清潔に保つことも忘れてはいけません。

有酸素運動にはこれらのような薄毛改善に関する様々な効果が期待できます。

まとめ

このように、有酸素運動には、テストステロンの抑制やDHTの排出といった働きがあるため少なからずAGAによる薄毛にも効果があると考えられます。

近年は女性のAGA(FAGA)も増加傾向にありますし、血行の促進や毛細血管の増加は女性の薄毛改善にも有効なため、有酸素運動は男性・女性にかかわらず、薄毛対策として非常に有効な手段だと言えます。

ただ、だからといって、有酸素運動がAGA対策として高い効果が見込めるかというとそうではなく、進行の抑制に補足的に働きかけるにすぎず、AGAは別途、育毛剤などでのAGA対策が必要になります。

AGAはいわば病的な症状ですので別次元の話になります。

有酸素運動は、これらの他にも
・心肺機能や体力の向上
・血管の柔軟性向上
・質の良い睡眠
・スムーズな入眠
・ストレスの発散
・精神の安定
・自律神経のバランス正常化
・ホルモンバランスの正常化
・食欲の増加
・脳機能の活性化
・成長ホルモンの分泌
・体脂肪の減少
といった間接的な働きでも育毛にプラスになるよう働きかけます。

有酸素運動は、薄毛の予防・改善だけでなく、身体のあらゆる健康維持・増進にプラスに働きかけますので、是非、日常生活に取り入れたいものです。

参考:育毛に良い生活習慣