ここでは、オクタペプチド-2という物質の働き、育毛作用について解説します。
オクタペプチド-2とは
オクタペプチド-2(プロヘアリンβ4)は、成長因子の一種で、毛根部分にあるバルジ領域を活性化し、毛包幹細胞を生成するように働きかける物質です。
※成長因子とは、体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進する物質のことです。体内で分泌されるものですが、歳を重ねるごとにその分泌量は減少していきます。 |
バルジ領域は、近年発見された毛根部分の毛根鞘のうち外毛根鞘という部分に存在する領域です。この領域がヘアサイクルと密接な係りがあることがわかってきました。
AGAなどの脱毛症を発症すると、ヘアサイクルの成長期が短縮され、髪の毛は十分に成長していない状態で退行期、休止期へと向かってしまいます。
そして、一旦、休止期になるとなかなか成長期へシフトできなくなります。
AGAの影響を受けて退行期・休止期へ向かう髪の毛の割合が多くなると、抜け毛が増え、髪の毛は薄くなっていく訳です。
バルジ領域には、
- 髪の毛をつくる毛包幹細胞と
- 髪の毛の色素をつくる色素幹細胞
の2種類の幹細胞が存在します。
※幹細胞とは、自分と同じ能力を持った幹細胞をコピーできる能力(自己増殖能)と、他の様々な細胞になることができる能力(多分化能)をもった細胞で、再生医療でも注目されている細胞です。 |
そして、一連のヘアサイクルを経て毛母細胞が髪の製造活動を停止すると、この髪の毛を作る元である「毛包幹細胞」が「毛母細胞」へと分化して、再び、新たな髪の製造活動を開始します。
つまり、バルジ領域には毛母細胞の種である毛包幹細胞が存在し、新たな髪の製造に深く関与しているということがわかってきたのです。
オクタペプチド-2の育毛作用
オクタペプチド-2の育毛作用
ヘアサイクルの休止期にある状態で、オクタペプチド-2によって、幹細胞が活性化されると、生成された毛包幹細胞が毛母細胞に分化し、毛乳頭細胞から栄養や様々な指令を受けながら細胞分裂を行い髪の毛を製造を開始しやすくなります。
つまり、オクタペプチド-2には、バルジ領域に働きかけて幹細胞を活性化し、毛母細胞のもととなる毛包幹細胞を生成するように働きかけることで育毛を促進する働きが期待されているという訳です。
このため、オクタペプチド-2は、休止期にある髪の毛をスムーズに成長期に導く働きがあるとも解説されています。
オクタペプチド-2の白髪抑制作用
また、バルジ領域には色素幹細胞(メラノサイトの幹細胞)も存在しています。
メラノサイト(色素細胞)は、髪の毛を製造する時に、毛乳頭の周りに配置され、黒髪のもとであるメラニン色素を毛母細胞に送りこんで、髪の毛を着色していきます。
このため、オクタペプチド-2がバルジ領域を活性化することで白髪を防ぐ効果も期待できると考えられています。
参考:白髪ができるメカニズム
このようにオクタペプチド-2は、毛髪の生成や毛髪への着色に重要な働きをする細胞を作り出す領域を活性化する作用があり、結果、育毛や黒髪を促進することが期待できます。
オクタペプチド-2は、アミノ酸で合成された成分のため副作用の心配も極めて少なく安心して利用できる成分と言えます。
オクタペプチド-2は、もともと美容業界では活用されてきた成分ですが、育毛の分野では比較的新しい成分です。